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DWCそうさくき
ユニカルコとかいうサイコロにしたらさぞ値が張りそうな動物を追い掛け回して皮を剥いだ所
教授から目が飛び出るほど怒られた。すごく理不尽だと思う。
「街道荒しの原因をつきとめたのにどうして怒られるのさ」
「これが絶滅寸前の貴重極まりない動物だからだっ」
「そんなのぜんぜん知らなかったもーんプー」
「君、周りで評判が悪いだろう。ところで皮はいだ後の肉をどうした。」
「冷蔵庫です。業者に引き取ってもらえばとてもよいひき肉の材料になります」
「己の腹肉でも切り刻んで売っとけ。返しなさい、クローンをつくらなくちゃ。」
「こんなの幾らでも見つかりそうだけどなぁ」
「以前は沢山いたのだよ。だが彼らには天敵がおってな。それも唐突に現れた、いわば予想外の怪獣みたいな奴らでな。
弱いユニカルコたちはなすすべもなく食い尽くされてしまったのだよ。」
「へー、で、そのゴジラみたいなのはどういう姿をしてるわけ?」
「こんなのじゃ」
「やつらは元々形のない寄生虫みたいなものでな。これはイヌに寄生してるタイプだ。生命力が強く、しかも素早い。
普通は筋肉を限界まで働かせないために脳が制御するんだが、その脳の力を奪ってしまうのだな。
だから宿主は長く生きられない」
「んじゃ、こいつらも死んじゃうんじゃないの?」
「宿主が死んでも体細胞が完全に死滅しない限りは動き回るよ。エサをあさりながら次の宿主を探すわけさ」
「ユニカルコが好物なの?」
「正しくはユニカルコの角に含まれてるものが好物だ。
燐とマグネシウム、カリウム、ヨウソ、コバルト、モリブデン等等」
「ふーん。どっかで聞いた成分」
「どうも寄生獣の繁殖に一役買ってるようだな」
「ううん、貴重な講義をどうもありがとうございました。それではこれで」
「待ちなさい」
「ちっ逃げられないか」
「これも冒険者の役目だ。ユニカルコを殺したバツとして天敵を狩ってらっしゃい!」
私はぶーぶーいいながら高原を回った。ユニカルコが高原の生物なら天敵だって高原にいるはずだ。
さんざん探したが、それらしいものは何も見つけられなかった。
「ええい、探すよりつぶせだ」
目に付くモンスターを片っ端から技で消し去ってみた。しまいに高原が焦げ臭くなってきた。
まるでこっちが天敵みたいだ。
行きよりも更にブーブーいいながら、私はくたびれて町に帰ってきた。
「元々形のないものをシロウトが探そうというのが無理なのだ。まったく。教授ー、教授ー、あれ?教授ーどこですかー」
「ここだよ」
「なんですか、勝手に部屋移らないで下さい。なんにもいませんでしたよー。」
「そうか。・・・ユニカルコもいなくなったし、高原の次の場所に移動したな」
「次の場所って?」
「まあ、燐やマグネシウムが沢山あるところだろうね。ところで、疲れてないかい?MP沢山使っただろう」
「そりゃもう打ちまくりましたからねーすっからかんのカラッポですよ」
「そうか。じゃあ大丈夫かな」
「何が?」
「いや、ジュースでもお飲み。少しこの研究室で休んでいくといいよ。」
「わあい有難うございます。・・・あー、何だか眠くなってきた・・・まだ宵の内なのになぁ・・・」
「沢山眠るといいよ」
「・・はい・・・でも奴らは・・・」
「君が気にすることはない」
目が自然に落ちかかった。
瞼の奥が燃えるように赤い。どこかで見た炎だ。
「焦らなくても見つかるさ」
ああ、火葬の火だ。
人に含まれる鉱物の輝き・・・人の体は・・・
定まらない視界の中で、教授の顔全体がゆがんだ。それは笑いに見えた。
「・・・そのうち沢山ね・・沢山・・」